通販コールセンター運営の4大課題と解決策|売上とCSを同時に高める方法とは

通販のコールセンター運営においては、セール期になると電話が鳴りやまない、在庫や配送管理に追われる、誤案内がクレームに直結する──こうした状況を経験したことがあるのではと思います。

特に受電ピークの波と在庫・配送の更新遅延が重なると、確認待ち案件が山積みとなり、結果として誤案内や再入電の増加につながります。

これは現場にとって大きな負担であり、顧客満足度の低下にも直結するなど、負のスパイラルに陥ることになりかねません。

そこで本記事では、通販特有の4大課題を構造的に整理したうえで、今すぐ実践できる具体的な解決策をご紹介します。

まずは自社のフローと照らし合わせ、実行可能な一つの施策からスモールスタートで改善に取り組んでみましょう。

通販のコールセンターが抱える4大課題と解決ポイント

通販のコールセンターは、通販業界特有の課題を大きく4つ抱えています。

  1. 情報連携の不備
  2. 誤案内の発生
  3. トラブル対応の遅れ
  4. リピート率の低さ

これらの課題を構造的に理解することで、システム・運用・人材配置といった多角的な視点から、具体的な解決策を見つけることができます。

本章では、それぞれの課題でどのような問題が発生するのか、またどのような対策を講じるべきかを解説していきます。

ぜひ自社の状況と照らし合わせながら、当てはまる課題がないか確認してみてください。

1,情報連携の不備:ECサイトの注文情報が届かず対応漏れ・二度手間が発生

ECサイトで受けた注文がコールセンターの受注データと同期していない場合、二度手間や対応漏れが発生しやすくなります。

結果として「出荷されていない」「同じ注文が二重で入っている」といった問い合わせが増加し、伝票番号の確認のために倉庫へ都度確認するなど、現場に大きな負荷がかかるのです。

この課題に対する有効な対策としては、システム同士をデータや機能でつなぎ合わせプログラム間の橋渡しができる「API連携」による注文情報の自動同期が挙げられます。

加えて、即時対応フラグを活用して優先度を明確にしたり、受電時に必須項目を一画面で確認できるようユーザーにとって使いやすく設計することで、ミスマッチを防ぐことが可能です。

いきなり全てを変えようとするのではなく、まずは受電画面に注文番号・氏名・電話番号・支払方法・配送希望といった必須項目のみを集約して表示したり、ECサイトからの新規受注データ連携を5分間隔に短縮するといった取り組みを行ってみてください。

2,誤案内の発生:在庫・配送ステータスが遅延し誤案内やクレームが増加

在庫数や配送ステータスがリアルタイムで反映されていない場合、誤案内やクレームにつながるリスクが高まります。

対策としては、倉庫管理システムとCTIクラウドを連携させ、在庫状況や出荷ステータスをリアルタイムで表示できる仕組みを整備することが効果的です。

例えば、受電画面の上段に在庫数・次回入荷予定・出荷ステータスを表示し、緑(在庫あり)・黄(残りわずか)・赤(欠品)といった色分けで直感的に把握できるようにする方法があります。

さらに、配送追跡APIと連携し、受電画面からワンクリックで配送状況を確認できるようにしたり、本日受付分の最短到着日を自動表示したりする仕組みも有効です。

こうした仕組みによって、在庫誤案内率や配達遅延に伴う再入電率が低減し、到着予定回答の的中率が向上します。

その結果、応対品質とスピードを両立しながら、クレームの未然防止につなげることが可能です。

3,トラブル対応の遅れ:トラブル対応の遅れでブランドの信頼を落とす

トラブルが発生した際に対応が遅れると、ブランドへの信頼を損なうリスクが高まります。

有効な対策としては、トラブル検知用ワードをIVRに設置し、必要に応じて即時にオペレーターへ接続させる仕組みを導入することです。

例えば、「荷崩れ」「誤配送」「破損」「返品希望」といったワードを設定しておくと、早期の切り分けが可能になります。

さらに、こうしたトラブルに対応する専任チームを設置し、代替品の即日出荷、送料負担、クーポン発行など、その場で判断できる裁量を持たせることが効果的です。

現場が即時に対応できる体制を整えることで、お客様の不満を最小化できます。

謝罪と代替案の提示をワンストップで完結させることにより、さらなるクレームの発生を防ぎ、顧客満足度の維持につなげることができます。

4,リピート率の低さ:フォロー不足でリピート率が伸び悩む

一度きりの購入で終わってしまい、LTV(顧客生涯価値)を十分に最大化できていないケースは少なくありません。

対策としては、購入後のフォローコールと連動したDMやメール配信を活用し、継続的な接点を持つことが効果的です。

例えば、到着翌日には開封や使用方法の案内、1週間後には使用感のヒアリングと関連商品の提案、1か月後には使い切り前を見越した定期便の提案など、タイミングを区切ったフォローを実施します。

さらに、購入履歴や顧客属性によってセグメント化し、最適なタイミングでアップセルやクロスセルを行うことで、リピート率の向上を狙えます。

その際には、押し売りと受け取られないよう、「継続してご利用いただくことで効果を実感しやすいため、次回分をあらかじめ確保しておきます」といった“安心感”を切り口にした提案が有効です。

通販向けコールセンターの主要KPIと目標設定

通販におけるコールセンター運営では、売上や顧客満足度に直結する独自のKPIを正しく定義し、継続的にモニタリングすることが不可欠です。

その際には、業界平均との比較を行いながら、達成可能であり、かつ意味のある目標を設定することが重要です。

ここからは、以下の各項目でどのような数値が関係しているのか、そしてその目標を達成するために具体的に何を行うべきかをご紹介します。

  1. 注文応答率(ORR)
  2. 一次解決率(FCR)
  3. 引き上げ率
  4. リテンション率(キャンセル防止率)

自社にとって本当に必要なKPIは何か、どのように取り組むべきかを見極めるきっかけにしてください。

1,注文応答率(ORR)

注文応答率(ORR)は、かかってきた電話のうち実際に応答できた割合を示す指標であり、取りこぼしを防ぐうえで重要な役割を果たします。
(計算式:ORR=応答件数 ÷ 受付総件数)

高いORRを維持するためには、予測呼量に基づいた人員計画と回線数の最適化が欠かせません。

具体的には、待ち時間が30秒を超えた場合にコールバック案内へ切り替える、混雑時間帯だけ席数を1席増やすといった運用が効果的です。

基準値は80%以上を目安とし、ピーク時の対策も含めて指標を設計することが望まれます。まずは混雑時間帯に限定して80%を目標とし、達成できたら全体で数値を引き上げていくと現実的です。

さらに、時間帯別のORRをヒートマップで可視化し、毎週更新することで改善対象の時間帯を特定でき、効率的な運営改善につながります

2,一次解決率(FCR)

一次解決率(FCR)は、お客様が再度連絡をしなくても1回の応対で解決できた割合を示す指標であり、顧客満足度やコスト効率と強く相関しています。

FCRを高めるためには、FAQとの連携、担当者教育、CRMの効果的な活用が有効です。あらかじめ「同一顧客・同一要件で72時間以内の再入電は未一次解決とみなす」といった線引きを明確に定義しておくことも重要です。

具体策としては、よくある要件に対する標準解答の作成、現場で即時対応できる権限付与などが挙げられます。目安は70~80%であり、一次対応で完結できる仕組みづくりが鍵となります。

まずは再入電が多い上位3要件を特定し、トークスクリプトを見直すことから始めましょう。言い回しの改善や代替案の先出しを取り入れるだけでも、FCRを70~75%へ引き上げることが可能です。これにより総入電数の数%が削減され、結果的にORRや待ち時間の改善にもつながります。

3,引き上げ率

引き上げ率は、注文応対の場で関連商品や上位商品を追加購入いただけた割合を示す指標であり、クロスセル率やアップセル率と同義です。

通販のコールセンターにおいて、売上向上を測るうえで欠かせない重要指標となります。

ただし、対象外の顧客にまで一律で提案を行うと、かえって顧客満足度の低下を招く恐れがあります。そのため、購入履歴・在庫状況・単価といった条件から提案対象を絞り込むことが前提です。

また、提案は「言いやすさ」と「タイミング」によって成約率が大きく左右されます。したがって、複数のトークスクリプトを並行して運用し、引き上げ率が高いパターンを検証・選定したうえで全体に展開することが有効です。

4,リテンション率(キャンセル防止率)

リテンション率(キャンセル防止率)は、受注後のキャンセルや解約を防げた割合を示す指標であり、初回購入者や既存顧客の維持率を測る重要なKPIです。

キャンセル率が高い場合、売上維持のために追加の対応が必要となり、現場の負荷も増大します。

そのため、まずはキャンセル理由の上位3項目を分析し、商品ページ・FAQ・トークスクリプトに反映することが有効です。

例えば「到着遅延」が主要因の一つである場合には、遅延アラートを受信した際に自動でお客様へ通知するとともに、次回送料無料や割引の提案を加えるだけでもリテンション率は改善されていきます。

また、受注後のキャンセルや解約を防ぐには、オペレーターによる応対品質の向上も欠かせません。丁寧で先回りした説明や、顧客心理に寄り添った提案を行うことで、顧客維持率を高めることができます。

コスト構造と人員配置の最適化手法

通販のコールセンターは注文の変動が激しく、固定費化に依存した運営ではリスクが大きくなります。そのため、柔軟性を確保した運営設計が求められます。

具体的には、日別の需要予測をできる限り正確に行い、オペレーターのスキルに応じて適切に配置することが基本です。さらに、不足分については部分委託や短期要員を活用し、固定費ではなく可変費として運用することが重要となります。

本章では、品質とコストの両立を実現するための運営設計の考え方を整理していきます。

ピーク時・繁忙期のシミュレーションとフレキシブルなシフト組み

ピーク時や繁忙期のシミュレーションを行い、フレキシブルにシフトが組めるような仕組みを構築しましょう。

そのために、まずは直近半年から1年の30分単位での入電数を振り返り、セールや広告施策のタイミングと重ね合わせて「混雑時間帯」を把握することが第一歩です。

その上で「20秒以内に8割の電話に応答する」といった目標を設定し、必要な座席数を逆算して計画を立てましょう。

普段稼働している固定メンバーに加え、昼間のみ・夕方のみといった短時間シフトや、1~2時間だけ対応できるヘルプ枠を確保しておくと、急な入電増にも柔軟に対応できます。

また、待ち時間が長くなった場合には、コールバック受付やチャットへの誘導、IVRの切り替えを行うことで、顧客体験を損なわずに負荷を分散させることが可能です。

まずは特定の曜日の夕方や、セール初日の昼帯といった限定的なタイミングから試験導入を行い、成果を確認しながら徐々に拡大していくと、スムーズな運用改善につながります。

スキルマトリックスによる最適配置

オペレーターや担当社員のスキルに合わせて、最適な配置を組みましょう。

誰でもすべての問い合わせを受ける体制にしてしまうと、一次解決率が下がる傾向があります。一方で業務を細分化しすぎると、窓口ごとに空席が発生しやすく、稼働効率が低下する恐れも。

そのため、受注・変更、配送・返品、決済、定期・解約、キャンペーン対応といった領域ごとにスキルを定義し、オペレーターの習熟度をLv1~3などで可視化することが有効です。

新人は受注やFAQ対応といった基本業務を中心に、ベテランは配送遅延や定期変更など難易度の高い案件を担当する、といった役割分担が適しています。

さらに、日々の入電状況をモニタリングし、増加している窓口にマルチスキル要員を転用することで、待ち時間を抑えつつ一次解決率を維持することが可能となります。

外部委託活用のメリットと適用シーン

品質とコストを両立させるためには、「足りない部分だけを外に出す」部分委託の活用が有効です。

特に、セール直後やテレビオンエア後、夜間・早朝の時間帯、チャットやメールといったチャネル追加、多言語対応、未配達フォローといった局面で大きな効果を発揮します。

外部委託のメリットとしては、立ち上げの速さ、研修済み人材の即戦力投入、可変費化によるコストの平準化、そして品質の標準化が挙げられます。

さらに、委託開始前に応答率やKPI、エスカレーション権限、日次・週次の報告内容を明確に定義しておくことで、初動をスムーズに進めることが可能です。

まずは1席や特定の時間帯といった限定的な範囲から委託を始めることで、移行リスクを最小限に抑えながら運用を軌道に乗せられます。

通販顧客の声を売上に変えるマーケティング施策

顧客対応を通じて得られる生の声は、LTV向上やリピート促進につながる“宝の山”です。

現場で得たインサイトをフォロー施策や販売導線に反映することで、売上に直結するテレマーケティングを実現することができます。

本章では、それを実現するために必要な具体的な取り組みを解説します。自社でまだ取り入れられていない施策があれば、ぜひ積極的に採用してみてください。

フォローコールを最適なタイミングで実施する

フォローコールの効果を最大化する鍵は タイミングの設計 にあります。

到着翌日には開封や使用方法に関する不安解消、7日後には使用フォローや関連商品の案内、30日後には使い切り前を見据えた補充提案など、商品ごとに目的を明確化してコール計画を立てることが重要です。

また、電話がつながらなかった顧客には翌日にメールを送信し、会話ができた顧客にはクーポンを送付するといった流れを組み込むことで、接点の取りこぼしを最小化できます。

こうした仕組みを徹底することで、単なるフォロー対応ではなく、リピート促進に直結する施策として機能させることが可能です。

アップセル/クロスセルのトークスクリプトを作り実践する

押し売り感を与えずにアップセル・クロスセルを提案するには、「共感 → 価値 → 関連性 → 選択肢 → 後押し」の型を活用するのが有効です。

例えば、

「前回のご用途でしたら(共感)、より長持ちする上位モデルがおすすめです(価値)。ご購入履歴から拝見すると、〇〇様にはこちらが合いそうです(関連性)。AとBのどちらがよろしいでしょうか(選択肢)。万が一合わなければ返品も可能ですのでご安心ください(後押し)。」

このような流れで提案することで、顧客の納得感を得ながら自然に受注につなげることができます。

さらに、属性や購入履歴に応じて提案内容を分岐させ、ロールプレイングやトークスクリプトの改善を繰り返すことで精度を高めていくことが重要です。

サブスク・定期購入誘導のシナリオを構築し実践する

サブスクや定期購入への誘導は、提案のタイミングと言い回し、不安の払拭が成否を分けます。狙い目は、2回目購入時や商品を使い切る直前です。

提案時には「切らさない安心」「手間の削減」といった成功体験を訴求する一方で、回数縛りなし・WEBからいつでも解約可能・在庫の優先確保といった安心条件を明確に提示することが効果的です。

さらに、定期転換率・継続月数・スキップ率をモニタリングし、離脱理由をFAQやトークスクリプトに即時反映することで、改善サイクルを回しながら成果を積み上げていくことができます。

まとめ|通販特化型コールセンターで売上・CSを同時に向上させよう

通販のコールセンターは、単なる受電窓口ではなく、売上と顧客満足度を同時に伸ばすための戦略拠点です。

情報連携の不備、誤案内の発生、トラブル対応の遅れ、リピート率の低さといった課題も、仕組みと運用設計を整えることで着実に解消していくことができます。

ただし、すべてを一度に実施する必要はありません。まずは実行可能な取り組みから改善を進め、成果を検証しながら段階的に広げていくことが大切です。

また、社内のリソースだけでは急な入電数の増加への対応や人員の確保が難しい場合には、1席や特定の時間帯限定といったミニマムな外部委託から始めるのも有効な手段です。

委託をご検討の際には、ぜひ一度、弊社ドゥファインまでご相談ください。御社に最適な運営改善の方法をご提案させていただきます。