コールセンターの新規立ち上げや、現在の委託先からの切り替えを検討する際、自社で運営するのか外部に任せるのかを、コスト面だけで判断していませんか?
実際のコールセンターの費用は、単純な外注費や人件費だけで決まるものではなく、運営体制や管理方法、改善の仕組みによって大きく左右されるものです。
内製化にも委託にもそれぞれ特徴があり、どちらが合っているかは企業の状況によって異なります。
本記事では、どちらが安いのかという視点ではなく、どちらであれば成果を最大化できるのかという視点で、自社に合った運営体制を見極めるための判断基準を解説していきます。
自社の求める姿をイメージし、より最適な答えを導くきっかけにしてください。
内製化したほうがコストは安い?よくある誤解を整理
コールセンターの内製化は、外注費がかからない分コストを抑えられるというイメージを持たれやすいです。
確かに内製化をすると外注費は発生しませんが、その代わりに人件費や教育コスト、システム導入費などが継続的に発生します。
これらを総合的に考えると、結果的に委託した場合と同程度のコストになるケースも少なくありません。
内製化は安さを重視する選択肢ではなく、運用の自由度やノウハウの蓄積を重視する選択肢として捉えておくとよいでしょう。
コスト構造は内製も委託も大きく変わらない
コールセンターの費用構造を分解すると、内製と委託のどちらであっても、基本的に発生するコストの種類は大きく変わりません。
例えば、オペレーターの人件費・教育費・システム利用料・品質管理に関わるコストは、運用形態に関わらず必要になる要素です。
委託の場合は、それらがパッケージ化されて料金に含まれているのに対し、内製の場合は自社で個別に負担する必要があります。
コストの内訳を見ると、内製と委託の違いは支払い先や管理方法にあり、発生するコストそのものに大きな差があるわけではありません。
コスト差を生むのは体制より「運用改善」
コールセンターのコストに差が出る要因は、内製か委託かという体制の違いではなく、日々の運用改善の有無にあります。
例えば、オペレーションの無駄を削減したり、応対品質を向上させたりすることで、FCR(一次解決率)を向上させる取り組みをしているかどうかによって、同じ体制でもコスト効率は大きく変わります。
体制ありきで考えるのではなく、自社でその改善サイクルを回し切れるかを基準に検討することが重要です。
内製化が向いている企業の4つの特徴
コストに大差がないとすれば、何を基準にして内製化か委託かを選べばいいのでしょうか。
まずは、コールセンターを内製化することで大きなメリットを得られる企業の特徴を4つ紹介します。
商材の専門性が高い企業
BtoB向けの専門的なITツールや、医療・金融機関など、高度な知識と継続的な学習が求められる商材を扱う企業は内製化に向いています。
外部のオペレーターが短期間の研修で習得するには限界があるため、自社の専門スタッフが直接対応した方が、解決率や顧客満足度は高まりやすくなります。
営業ノウハウを資産化したい企業
インサイドセールスやカスタマーサクセスなど、コールセンターを売上を作る・解約を防ぐプロフィットセンターとして位置付けている場合も内製化が向いています。
顧客の生の声や断り文句、成功の勝ちパターンといったノウハウを自社の貴重な資産として蓄積し、商品開発やマーケティングに直接還元できるようになります。
改善文化と管理体制が整っている企業
日々の応答率や対応時間などの数値を分析し、マニュアルを更新しながらオペレーターを適切にマネジメントできる企業は内製化に向いています。
こうしたコールセンター特有のマネジメントを実行できる専任SVや、PDCAを回す文化が社内に既に根付いている企業は、内製化を成功させやすい傾向にあります。
顧客接点を戦略資産にしたい企業
自社のファンを作ることや、圧倒的なおもてなしをブランドのコアバリューとしている企業は、内製化に向いています。
外部のパートナーに依存せず、採用基準から言葉遣い、対応の裁量権までを全て自社でコントロールし、最高水準の顧客体験を提供し続けられるでしょう。
内製化に向いていない企業の4つの特徴
一方で、無理に内製化を進めると、品質低下や管理体制の崩れを招きやすい企業の特徴もあります。
その場合は、委託を検討した方がよいでしょう。
早期に成果を求められている企業
新商品のキャンペーン窓口を開設したい、すぐにインサイドセールス部隊を立ち上げてアプローチしたいなど、スピード感と早期の成果が求められる場合は、内製化に向いていません。
内製化だと、採用からシステム構築、教育までに数か月を要するため、機動力を重視するフェーズには不向きです。
入電ボリュームが不安定な企業
テレビCM直後だけ電話が鳴り止まない、季節によって問い合わせ件数が倍以上違うといったように、入電ボリュームに大きな波がある企業は内製化に向いていません。
内製化で人数を固定してしまうと、繫忙期には電話を取りこぼし、閑散期には過剰な人件費を払い続けることになり、経営を圧迫します。
管理リソースが不足している企業
とりあえず若手社員を数名集めて電話番をさせよう、営業部長がコールセンターの管理者も兼任しよう、といった状態の企業は内製化に向いていません。
コールセンターの運用には、専用のKPI管理やオペレーターのメンタルケアといった専門スキルが必要です。
専任の管理リソースを割けない場合、内製化すると高確率で失敗します。
コア事業に集中したい企業
立ち上げ期のスタートアップや、少人数で大きな売上を作っている企業など、社内の貴重な人材や時間を商品開発やフィールドセールスといったコア業務に集中させたい場合は、内製化に向いていません。
顧客対応というノンコア業務を抱え込むことは、事業の成長スピードを鈍らせる原因になり得ます。
ハイブリッドという第三の選択肢
内製化のメリットも捨てがたい一方で、立ち上げや管理のハードルが高すぎるとお悩みの方におすすめなのが、ハイブリッド型という第三の選択肢です。
ハイブリッド型は、内製と委託のいいところを組み合わせた運営方法で、業務内容や事業フェーズに応じて、柔軟に体制を設計できます。
立ち上げは委託、安定後に内製へ移行する
スピードが命となる立ち上げ期は、すでに設備と人員が揃っている外部に委託し、迅速に運用をスタートさせます。
その後、委託先でFAQやマニュアルを整備し、運用ノウハウが十分に固まった段階で、その仕組みごと自社に引き継ぐ戦略です。
失敗のリスクを最小限に抑えつつ、最終的に自社の資産にできます。
高難度商材だけを内製で担う
業務の難易度によって対応窓口を切り分けて運用するという方法です。
たとえば、法人向けITソリューション・医療機器・産業機械・金融商品など、専門知識や個別提案が求められる高難度商材は、自社の専門人材が対応を担います。
一方で、一般的な問い合わせや定型手続きは外部へ委託し、高難度商材に関する二次対応や重要顧客対応のみを自社で担います。
対応品質を維持しながら、運用効率とコストの最適化を進めやすい方法です。
市場検証は委託し、本格展開は内製で行う
新規事業や新商材のテストマーケティング段階では、外部のコールセンターを活用して、迅速に顧客の反応を検証します。
成果の再現性が確認でき、事業として本格展開するGOサインが出た段階で、自社採用を強化して内製化に踏み切るという安全なアプローチで、初期投資のリスクを抑えられます。
品質評価だけを外部に任せる
日常的な電話対応のオペレーション自体は自社で行いつつ、月に一度のモニタリングやミステリーコール、それに基づくオペレーターへのフィードバック研修など、品質管理や改善機能のみを外部のプロに委託する方法です。
社内だけでは見落としがちな課題を客観的にあぶり出し、改善の精度を高められます。
失敗しないための判断基準
コールセンターの運用方法を選択する際には、単一の要素ではなく複数の観点から総合的に判断することが重要です。コストは決定打になりません。
失敗しないためには、以下の4つを総合的に見て意思決定することが重要です。
- 商材特性:専門性が高く、社内ノウハウが必要か
- 緊急度・スピード:立ち上げまでに数か月の猶予があるか
- 管理体制:専任のSVを配置し、改善サイクルを回せるか
- ボリュームの安定性:毎月の件数が安定しており、固定の人件費を抱えられるか
これらを冷静に見極め、自社の目的とフェーズに最もフィットする体制を選ぶことが、コールセンター構築の成功条件です。
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まとめ|どの体制で成果を出せるかを基準に選ぶ
コールセンターの価値は、どこで電話を取るかではなく、顧客にどのような体験を提供できるかで決まります。
内製化でも委託でもハイブリッド型でも、重要なのは、その体制が自社の成果にどう貢献するかという視点です。
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