アウトバウンドのコールセンターで成果を出す!KPIやスクリプトのコツも解説

「アウトバウンドを始めたいけど、正直なところ不安も多い」

「アウトバウンドでどうやって成果を出せばいいの?」

「内製化すべきか迷うけれど、人もノウハウも足りない…」

そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

アウトバウンドのコールセンター運営は、インバウンドと比べて成果を出すのが難しく、オペレーターのスキルに依存しがちです。

そのため、成果を出すための条件を整えたコールセンター設計や、条件を満たした委託会社の選定が大切になります。

本記事では、成果を出すための条件や失敗例、内製化と委託のどちらが向いているかなど、実務に沿ったポイントを解説します。

これからコールセンターを立ち上げようとしている企業様も、これまで成果が出せなかった企業様も、ぜひ参考にしてみてください。

今、成果が出るアウトバウンドコールセンターの条件とは?

いま改めて、内製化・委託を問わず、アウトバウンドによる商談創出が注目されています。

背景には、競合増加によるBtoB市場の活性化や、WEB広告だけでは費用対効果が出づらいという「インバウンドの限界」を感じる企業が増えていることがあります。

インバウンドの場合、「今話を聞きたい!」と熱量の高いお客様に効率よく営業ができますが、待つだけの営業では十分な商談数を確保するのが難しく、すべての商談が受注につながるわけでもありません。

「待つ営業」ではなく「攻めの営業」で成果を出すためには、以下の条件を満たすことが大切です。

  • ターゲット精度の高い「リスト設計」ができている
  • 顧客との対話を意識した「スクリプト設計」がされている
  • オペレーターの目標(KPI)を“意味ある数字”にしている
  • トライ&エラーを高速で回し、改善サイクルが早い
  • 教育と現場支援が継続的に行われている

このあと、それぞれ詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧くださいね。

ターゲット精度の高い「リスト設計」ができている

ターゲットリストの精度は、アウトバウンドの成果を大きく左右する重要なポイントです。

戦略なしに架電をしてしまうと、なかなか成果が出ず、担当者につながらないまま終わったり、決裁者から遠い相手で話が進まなかったりしてしまいます。

リストを設計するときは、サービスに興味を持ってもらえそうな人物像をきちんと想定して、ターゲットをセグメントしていきましょう。

下記のような項目をもとに、リスト精度を高めることをおすすめします。

  • 業種
  • 会社規模
  • 部署直通番号
  • 役職
  • 決裁者かどうか
  • 購買意欲の高さ
  • 類似サービスの導入履歴

たとえば、代表番号への架電は営業電話が多かったり、担当部署へ取り次いでもらえなかったり、なかなか話を聞いてもらえないことが多いですよね。

また、ようやく決裁者にたどり着いても、類似サービスを導入したばかりで検討の余地がなければ、長期的な関係構築が必要になり、すぐに商談化は難しいでしょう。

だからこそ、「誰にかけるか」を徹底的に設計して、成果につながるリストをつくっていきたいですね

顧客との対話を意識した「スクリプト設計」がされている

アウトバウンドで成果を出すには、顧客との対話を意識し、短時間で心を掴むようなスクリプト設計が必要です。

基本的に担当者は忙しい中で多くの営業電話を受けています。最初から断るスタンスで電話に出られる方が多く、アポイント獲得どころか会話さえ難しいものです。

営業電話のストレスを与えず、アポイント獲得に繋がるスクリプトは、次の5つの観点を基に設計すると良いでしょう。

  • 一方的に情報を伝えるのではなく、会話の流れを設計する
  • 答えやすい質問設計をする
  • よくある断り文句への切り返しパターンを用意する
  • 会話に応じた分岐型、提案型で設計する
  • 相手の状況に共感し、仲間意識を持たせる

例えば、「今忙しいので」の断り文句には、あらかじめ「お忙しいと思いますので」とこちらから先に伝えると、断りづらく自然なクロージングに繋がります。

アポイント打診の際は「いつがご都合よろしいですか」よりも「午前と午後だと、どちらがご都合つきやすいですか」と質問する方が答えやすいですね。

短時間でスムーズに相手の心を動かせると、営業電話のストレスを与えず、アポイントに繋がりやすいです。相手の反応を蓄積して、スクリプト改善をしていくと良いでしょう。

オペレーターの目標(KPI)を“意味ある数字”にしている

オペレーターのパフォーマンスを高めるためには、KPIを意味のある数字にしていく必要があります。

最終目標をアポイントに限定せず、「成果につなげるためのコンパス」として、次の指標を意識していきましょう。

  • 架電数
  • 接続率
  • アポ率
  • 商談化率
  • 成約率

例えばアポ率が低い場合、そもそもの架電数を増やすか、架電時刻を変更するか、リストに課題があるか、オペレーターのトークスキルを高めるべきかなど、複数の解決策があります。

どの解決策を優先するかは、接続率や架電数など他の数字を参考にすると課題が明確になりますね。

成約率が低い場合は、そもそもニーズが低く「とりあえず話を聞く」段階なのか、話が進む相手にアプローチできているか、営業スキルは問題ないかなどの視点で見直していくと良いでしょう。

KPIは単なるノルマではなく、「成果に繋げるためのコンパス」として、適宜改善するための数字です。

なんとなく数字を設定するのではなく、定期的な振り返りやオペレーターとの1on1で目標設定を見直していくと、より成果につながるはずです。

トライ&エラーを高速で回し、改善サイクルが早い

KPIを意味のある数字にし、トライ&エラーを高速で回して改善サイクルを早くすると、成果を得るスピードも早くなります。

例えば、スクリプトの改善や接続しやすい時間帯の見直し、ターゲット属性のABテストを日常的に実施していくと、アウトバウンドのノウハウが蓄積されやすくなりますね。

その都度、臨機応変な対応が求められるため、失敗した会話も含めて振り返ることが重要です。「失敗から学ぶ」文化をもち、結果を次回施策に活かしていくことで、トークスキルも向上していくでしょう。

架電の振り返りは、日次・週次でチームに共有しながら調整を行うと、現場判断でスピード感を持ってPDCAを回せます。

毎日の架電が習慣化されているオペレーターにとって、ただ架電数のノルマをこなすだけにならないように、実践で得た気づきを拾いながらPDCAを高速で回していくと良いでしょう。

教育と現場支援が継続的に行われている

管理者(SV)は、単なる業務の監視役ではなく、支援型マネージャーとして機能する必要があります

例えば、初期研修だけではなく、継続的なロープレや音声へのフィードバック、リアルタイムでの連携サポート、OJTなど、教育と現場支援体制を整えると架電の精度を高められるでしょう。

特に、アウトバウンド開始時は、作り込んだスクリプトでも成果がでない可能性があります。

成果が出ないとアポインターのメンタルにも関わり、パフォーマンスに影響する可能性もあります。

個別フォローや、改善フィードバックの文化が根付いていると、パフォーマンスを維持できて成果にも繋がりやすいですね。

日頃から管理者とオペレーターのコミュニケーションも密に行い、支援型マネージャーとしてチームを作っていきましょう。

成果が出ないアウトバウンドの共通点と、よくある失敗例

成果につながりにくいアウトバウンドには、以下の3つの共通点があります。

どれかひとつでも欠けると成果が伸び悩んでしまいますので、よくある失敗例もぜひ参考にしてみてくださいね。

成果がでないアウトバウンドの共通点 よくある失敗例
リストの質が悪い

【アポイント獲得できないリストにアプローチを続けてしまう】

  • 代表番号への架電リストで、受付突破ができない。
  • 購入したリストが古く、接触できない。
  • 類似サービス導入した企業リストだが、スイッチング予定がなく商談化率、受注率が低い。
応対品質が悪い

【スクリプトに忠実で、臨機応変な対応ができない】

  • スクリプトを読むだけでは、想定外の反応があった時に臨機応変に返答できず、不信感を与える。
  • 担当者に接触できてもプロ感が欠如しており、今後の電話拒否、ブランドイメージを損なう事態も。
オペレーターの目標設定が曖昧

【目標設定の意図が不明で形だけの対応】

  • アポ率や成約率、受注率にこだわった架電ではなく、日々の架電数ノルマをとりあえず達成するオペレータもいる。目標設定や意図を明確にし、管理者(SV)と密な連携が必要。

リスクを抑えるには、事前の準備や運営体制の強化にしっかり力を入れていきましょう。

成果を出すアウトバウンド業務の3つの改善ポイント

アウトバウンド業務でしっかり成果を出すには、以下の3つの視点で常にPDCAを回していくのが効果的です。

  1. 営業架電リストの精度
  2. モニタリングとフィードバックの徹底
  3. オペレーターの目標とKPIの連動

開始前から運用中まで、この3つの視点を忘れずに回していくことで、アウトバウンドのPDCAがよりスムーズにまわり、成果も早く出やすくなりますよ。

営業架電リストの精度

受注見込みの低いリストに架電しても、費用対効果や営業効率は下がるばかりです。

より効率的に担当者につながり、アポ獲得や受注に結びつけるには、リストの粒度をしっかり見直すことが大切ですね。

ターゲットリストの粒度
  • 業種
  • 会社規模
  • 部署直通番号
  • 役職
  • 決裁権
  • 購買意欲の高さ
  • 類似サービスの導入履歴 など

実際、成約率の高い企業では、担当者が情報収集しているタイミングを狙った直接アプローチを行っています。

また、アポイントにつながりにくい架電の場合でも、「次回検討のタイミングはいつ頃でしょうか」「別サービスをご利用されていますか」など、断られる要因をしっかりヒアリングすることで、リスト改善に生かしているんですよ。

モニタリングとフィードバックの徹底

応対の質を高め、ノウハウを蓄積するには、モニタリングとフィードバックの徹底が欠かせません。

オペレーターはKPI達成を目指して架電しますが、同じ業務の繰り返しではマンネリ化してパフォーマンスが低下することもあります。継続して成果を上げるために、実際の通話音声を定期的にモニタリングし、フィードバックする仕組みを整えましょう。

また、リストごとに最適化したトークスクリプトや、一方通行にならない会話構成を取り入れ、都度改善を図ることも重要です。

受電側の担当者にとっては、単なるルーティンの電話よりも、自分に合った分岐型の対話のほうが断りづらくなりますよね。

モニタリングとフィードバックを徹底し、チーム全体で改善サイクルをまわすことで、質の高い応対と安定した成果の両立を目指していきましょう。

オペレーターの目標とKPIを紐づける

目標をただのノルマにせず、KPIとしっかり紐付けることで、日々の成果をぐっと高められます。

たとえば「1ヶ月15アポイント獲得」だけを掲げても、そのために何をどれだけすればいいのかが見えにくいですよね。現場に納得感を持って取り組んでもらうには、下記のようにプロセスごとに数字を細分化してみましょう。

架電数 接続率 有効会話率 アポ率 資料請求率 成約率
100コール 20~30% 10~20% 1% 1~3% 0.1~1%

未接触企業へのアプローチでは、100コールで1アポ獲得が平均とされています。

すでにアウトバウンドを実施中であれば、過去データをもとに数値を微調整するとより現実的なKPIが設定できますので、自社のデータを振り替えることも忘れずに。

また、KPI数値と進捗は委託先とも共有し、管理者・現場が同じ温度感で確認できる体制をつくることが大切です。みんなで同じゴールを見据えながら進めることで、継続的な成果につながりますよ。

また、KPI数値と進捗数値は、委託側と共有しておくと、双方で進捗を確認できて協議しやすいです。

委託側、管理者、現場が同じ温度感で目標達成に向かえると継続的な成果にも繋がるでしょう。

アウトバウンドは内製化と委託どちらがいい?

成果を出すには、内製化・委託それぞれの特性を理解して、自社に合った方法を選ぶことが大切です。

内製化のメリットは、自社内にノウハウを蓄積できる点ですね。ただ、新たにコールセンターを立ち上げる場合、設備投資や人材確保に時間とコストがかかり、準備のハードルは高めです。

一方、委託するとノウハウの社内蓄積は難しく、密な連携が欠かせません。ですが、初期から高い応対品質を確保でき、初期費用や運用コストを抑えられるため、長期的に見れば費用対効果の面で優位に立てることが多いでしょう。

以下では、それぞれのメリットを整理していますので、ぜひ自社の状況に合った選択の参考にしてくださいね。

内製化が向いているケース

サービスの専門性が高く、オペレーターが知識習得に時間を要する場合は、内製化が適しています。

難しい質問をされた場合でも、社員のような回答ができないとお客様の信頼を損ねてしまう恐れがありますので、内製化をした方が向いています。

ただし内製化でも同様に、新規の架電先でも信頼を獲得でき、「この人なら話を聞いてみたいかも」と思ってもらえるよう、サービス理解を深める継続的な研修やロープレを通じて、架電品質を高める取り組みが欠かせません

突発的な質問への対応力や、KPI達成に向けた会話の組み立てを意識する必要があるため、既に架電に慣れ、一定のスキルを持つオペレーターに委託したほうが、立ち上げからスムーズに稼働できる場合もあります。

委託が向いているケース

以下3点に当てはまる場合には、委託が向いています。

  • 架電ボリュームを確保したい場合
  • 短期決戦で成果を求める場合
  • 新規開拓が目的の場合

特に、サービスの知名度がまだ低く新規顧客獲得が狙いなら、アポイントを取るのは簡単ではなく、オペレーターが精神的に疲弊する可能性があります。

架電経験豊富なオペレーターであれば、「ガチャ切り」や典型的な断り文句にも慣れていて、その中からいかに次につながる情報を引き出すかを意識して対応してくれます。

例えば「よくA社を導入していると聞きますが、御社ではどちらを導入されていますか」と、少しでも情報収集するスタンスであれば、断られても次の架電やリスト精査などで活かせるでしょう。

委託をする場合も、ただ委託するのではなく一緒に進んでいくという意識を持って、コミュニケーションをとっていきたいですね。

成果につながる委託先を選ぶためのチェックポイント

アウトバウンドを委託する際は、安さだけで選ぶのではなく、きちんと成果につながるパートナーを見極めたいですね。自社に最適な委託先を選ぶためのポイントを、次の3つの視点でご紹介します。

  1. オペレーターが経験則で語れるかどうか

    経験に裏打ちされた会話ができるかどうかは重要です。社員のようにサービス理解が深く、受電側にも安心感を与えられるオペレーターなら、自然と信頼を築きやすくなりますよね。

  2. 同業種での架電実績があるかどうか

    委託先が得意とする業種を事前に調査しておきましょう。業界特有の商習慣や課題を理解し、これまでのノウハウを活かせる実績があると、よりスムーズに成果につながります。

  3. アウトバウンドを重視しているかどうか

    リスト作成、トークスクリプト設計、教育体制など、アウトバウンドを重視した体制が整っているかどうかを確認しましょう。短時間で顧客との信頼を築き、商談に結びつけるノウハウがあるかは必ずチェックしたいポイントです。

コストだけで判断せず、これら3つの視点で自社にぴったりの委託先を見つけると、成果がぐっと高まりますよ。

まとめ

アウトバウンドを成功させるには、ただ電話をかけるのではなく、「誰に」「何を」「どう伝えるか」を精緻に設計する必要があります。

また、アウトバウンドで成果が出ない理由として、「リストの質が悪い」「応対品質が悪い」「オペレーターの目標設定が曖昧」が挙げられるため、日々の通話をモニタリング&フィードバックし改善を繰り返すことも大切です。

本記事で紹介している内容を実践すれば、成果の出るコールセンターを構築できますが、上記のように多くのやるべきことがあるため、委託をしてみるのも1つの方法です。

今一度自社の現状を把握し、もし内製化と委託での導入を比較・検討する場合には「何を優先的に考えるべきか(例:早期の成果向上、ノウハウを社内に蓄積させるなど)」を判断軸としてみてください。

委託を進めていくとなった場合や、「自社はどちらのほうがいいのか、プロの意見を聞きたい」という場合は、ぜひ私たちドゥファインにご相談ください。お悩みやサービス内容を踏まえたフラットな視点で、お手伝いさせていただきます。

 

執筆者情報